「トンで火にいる夏のなんちゃら~♪ってことでようこそようこそ。俺は豪傑タランチュラン」
「ここにはたくさんの勇者さんにお越しいただいてだな、そのお味を賞味させていただいてたってワケ。最近あんまり来ないからだいぶ腹ペコよ。で、キミのお味はどうかなあ?」
巨大なクモの魔物がぺちゃくちゃしゃべりながら頭上から降りてきたのだった。
「あんまり手前でやられちゃう勇者さんじゃ困っちゃうもんな強めな魔物たちは遠ざけて置いたのよ」
どうやらこのダンジョンの主、ボスキャラの模様。
何本もある脚をせわしなく動かしながら、降りては昇り、降りては昇り。
口から白い糸の束を勢いよく吐き出して、かのるすを捉えようとする。
かのるすは面食らってビビってる?
いやいや、トンデモない。
かのるすも負けていない。
今日まで戦い続けて培われてきた自尊心が、彼を突き動かす!
俺ならできる。
自分は真の勇気をもつ者なんだと、自覚すること。
いつまでもまがいものでいるわけにゃいかんでしょう、と彼は思った。
いつものおちゃらけ気味なかのるすは今日はお預けだ!
オーロラソードを頭上に掲げ、集中する。
剣から迸り出た七色の光でタランチュランの姿をクッキリと浮かび上がらせた。そして、敵が降りてきたところをかのるすはジャンプし、一気に振り抜く!
ズバッ!!
タランチュランの首元を切り裂く音。
ギエエエという断末魔の叫び。
ムッシュより
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