12 決戦~勇者かのるすの冒険/INs°031

「我が結界を解くとは、なかなかの手練れと見える。姿をみせよ。なるほど、勇ましい目をしているな」

魔王の部屋に入るなり、小高い祭壇の上にいるマントずくめの輩がかのるすに言った。

一方的にしゃべる大魔王ゴンゴルゾーラ。

「ともあれ、ここまで来たということは私を倒しに来たわけか。身の程を知らぬようだな。まあよい。祈りの時間が長くて少し飽きていたところだ。相手をしてやろう」

やはり一方的にしゃべる魔王。
相手がしゃべっている間に、かのるすは静かに剣を構えた。

ついに対決の時が来たらしい!
腹を括れ、かのるす!

ゴンゴルゾーラは真っ黒なマントから両腕を出したかと思うと、手先から稲妻のような光がほとばしり出る。かのるすめがけて飛んでくる!耳をつんざく轟音!

かのるすはすんでのところで身をかわした。

「ほう、素早いな」

スキを与えずにかのるすは切りかかり、魔王のマントにキズをつけた。
ダメージを与えたのだろうか、手ごたえがない。

ゴンゴルゾーラが何度も稲妻攻撃を仕掛けるも善戦するかのるす。
やれるぞ!相手のスキを見極めつつあった。

「それならば、この攻撃は防げるかな?」

急にパターン変えてきた。
やなかんじ!

ゴンゴルゾーラの目が怪しく光ったかと思うと、ゴンゴルゾーラが分裂し3人になった。赤目、青目、黄目。なんかヤバい展開。

「うけてみよ!」

突然、赤目が叫んでこちらに向かって走り出す。
太い腕っぷしをマントから出して殴りかかってきた。腕には血管が浮き出ている。殴られたらさぞイタイに違いない。
かのるすは思い切ってオーロラソードをズバッと振り抜く!最後まで奴の目をしっかり見届けた。奴の腕が血潮とともに落ちた。アアアアアア。赤目は痛みのあまり、叫びながら赤目は部屋の陰に走り去っていった。地味に弱くないか・・。見かけ倒しって結構あるよね。こっちの心が折れなきゃ、なんとかなる!

「おのれ」

今度は青目が前に出た。両手に大きなこん棒をもっている。こいつもまた、手ごわそうだ。
なーんて言って、お前も見かけだけだろ?こっちから先制攻撃だ!
青目もまたこん棒を振り上げて向かってきた。こん棒が重すぎるのか、動きがそれほど速くない。すれ違いざまにブンッと音がした。かのるすはひらりを身をかわした!

相手も2本のこん棒が重いと判断したのか、一本を放り投げた。再びこちらへ向かって駆け出してきた。かのるすは相手のスピードの遅さを突いてこん棒を振り抜かれる前に切りつけようと駆け出した!

・・が、なんと青目、放り投げたこん棒につまづき、途中で派手に転んでしまった。顔面を床に打ち付け「グエ」と叫ぶ。あっけにとられるかのるす。相手はちょっと赤面すると(顔はよくみえないがそう見えた)赤目同様、走り去って幕内に見切れていった・・。あらあら、恥ずかしかったのかな?

最後に残った黄目はもはや何も言わなかった・・。
その代わり、黙って構えをとった。両腕を頭上に掲げてブツブツ言いだした。黄目の全身が紫の光に包まれる。呪文攻撃に違いない!

あたりに真っ黒な靄がかかり始め、黄目の姿が見えなくなった。かのるすはオーロラソードを振って靄を払うが、とても払いきれない!マズい!

遮られた視界・・。声だけが不気味に聞こえてくる・・。

「実を言うとな、結界を解かれていると我が魔力が弱まるのだ。もう一匹、我の邪魔をするものがいるのだろ?まったく、やりにくいったらありゃしない。・・悪いが再び結界は張らせてもらうぞ!」

ドオオオオオン!!
爆発音が、父・かの蔵の方で鳴った。

ムッシュより
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