<さあ ゆきなさい あなたの使命を全うするために>
クリスタルのなかから再び姿を現したカノルスは、ネイビーブルーの剣を手にしていた。
クリスタルソード。伝説の剣である。
一方、ゴンゴルゾーラもまたクリスタルの力によって本性を現そうとしていた。
「おのれ、我を本気にさせたようだな・・」
頭の上から足の先まで真っ黒。
ブラックのタイトスーツを着込み、かのるすとそっくりの姿・・。
そして似たような剣を持っている。だが、その剣は真っ黒だ。
すべての光を吸い込んでしまう、漆黒の剣!
「クリスタルの力が強大とはいえ、お前のクリスタルソードはにわかで手懐けられる代物ではあるまい。かのるす、さあいよいよ決着をつけるときだ。闇の力を受けてみよ。そして、我が腕の中で息絶えるがよい」
「この剣は人間の妬みの感情や悪意を吸い取って出来上がったのだ。人呼んで「暗黒ソード」。お前はお前の世界で、たった一人では生きられないだろう?そういう暗黒の力からも逃れられないのだ」
暗黒ソードをゴンゴルゾーラが振るたびに、人々の不安な顔、憎悪に満ちた顔、嘲笑う顔などが出現する。薄気味が悪い。
「お前にも邪念が見えるぞ・・。過去に色んな人間から忌み嫌われているようだな。生きていても辛いことだらけだろう?」
なんということだろう。
さっきから言葉数が多いとは思っていたが、ゴンゴルゾーラの一番の得意技は「言葉攻め」だったのだ!言葉は本物の剣よりも心をズタズタに切り裂く!!
かのるすはゴンゴルゾーラの呪詛の言葉を受けるたびに、クリスタルソードを目の前に構え、精神統一をした。するとそのたびに心が浄化されていくのを感じる。
「強がるな。お前の弱さを見せてみよ。本当は震えているのだろう?我にはわかるぞ」
暗黒ソードから次々と真っ黒な闇が飛び出す。どこまでも真っ黒だ。
クリスタルソードにまとわりつくどす黒い闇。ねばねばとして気味が悪い。闇納豆だ、これは。
闇納豆(仮)は、かのるすの手から剣をもぎ取ろうとしてきた。
再びかのるすは念を込めて振り払おうとする。
<月とクリスタルよ 我に力を与えよ>
すると、かのるすはまばゆい光に包まれ、彼のマントが翼に変わった!
かのるすは宙に舞い、目を閉じて心を整えた。
<信じるべきは自分自身だ。これこそが、唯一の真実だ>
そう心が決まると、ゴンゴルゾーラめがけてクリスタルソードを振り下ろした!!
かいしんのいちげき!
ムッシュより
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