ムッシュ・カノルスはむっくりとベッドから上体を起こした。
外はまだ白夜で薄暗く、窓の外に月が見えるかと思ったが、見えなかった。
そうだ、昨晩は夜遅くまで曲作りをしていたのだった。
ノートがベッド脇に転がっているのを見て思い出す。
どんな曲、だったっけ？
ノートを手に取ると思い出した。
昨夜、どんな曲を作ったのかを。
心の中の闇を、完全に振り払うことは、難しい。
だが、それと拮抗する光が必ず存在する。
ボクは、その光とともに歩んでいきたいのだ。
あの神聖な、巫女のような、心地よい月の声。クリスタルの光の輝き。
夢で握りしめたあの剣は、きっと自分自身の意志の高まりに違いない。
今も両手には少しビリビリと磁力のようなものを感じていて、戦っていた感触が残っていた。
誰と？
あ、親父にもそろそろ電話でもしておこうか。
頭の中で曲をリフレインする。
少し口ずさんでみる。
「メロディは傍（そば）にある・・」
V-E-S-T-A-L（ヴェスタル）
カノルスはペンを手に取ると、ノートにそう書き入れた。
– FIN –
一か月間お送りしてきました、INSPIRATIONs特別編「勇者かのるすの冒険」
お愉しみいただけたでしょうか？
RPGへのオマージュ。なかなかステキなアイデアだったと自負してます、ハイ！
次のカノルスシリーズはどんなことをコンセプトにしてみようか・・、とワクワクがFOO止まらない、でございます。
さて、それでは「勇者かのるすの冒険」締めくくりにエンディング曲をお送りします。
カノルスさんで「夢一夜（ゆめひとよ）」です。どうぞ～！
ではまた！3月のINSPIRATIONsでお会いしましょう！更新は果て無く続くようですよ！それはまるで無限の翼のように。
ムッシュより
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