公家サンの店からの帰り道。
カノルスは歌いながら歩いていた。
「独りでは寂しくはないか?強がりは君の常(つね)」
そして彼は立ち止まり、自分の手のひらを眺めていた。
ボクはこの先、何も成し遂げられないのだろうか?
少し自分がからっぽになったような気がして、ため息を吐き出す。
アルォムのうまさも、どこかに行ってしまっていた。
ふとまた誰かに呼び止められたような気がして視線を上げると、彼のアパルトマンである灯台の屋上ライトが明滅を始めていた。
!!!
「しまった、帰ろう!」
彼はそう言うなり走り出した。