ダヴィデの★/Davidstern /INs°038

大切な証をその胸に。

裏か、オモテか、真っ逆さまか。

私にとってはそれは証であるとともに、誇りでもある。

だが、あなたにとっては違うのだろう?

だからあなたは今、私に銃口を向けている。

相容れない私たちの立場。

だが、もし違う時間、場所で出会ったなら、例えばあなたのクルマのタイヤが溝にハマってエンコして、私がそこに自転車で通りかかったなら、喜んで手を貸すだろうに。

私は、あなたに私の命の決定権を委ねたつもりはないし、権利もないと思う。
そして、あなたもそれを重々承知しているはず。

私の目を見るがいい。

星がまたたき、澄んだ夜風が瞳の中で流れていく。

私は容れものだ。
高潔な魂の。

あなたの魂はそれを否定して自分を肯定したがるが、無言で認めてるはずだ。
その証拠に手が震え始めている。