大切な証をその胸に。
裏か、オモテか、真っ逆さまか。
私にとってはそれは証であるとともに、誇りでもある。
だが、あなたにとっては違うのだろう?
だからあなたは今、私に銃口を向けている。
相容れない私たちの立場。
だが、もし違う時間、場所で出会ったなら、例えばあなたのクルマのタイヤが溝にハマってエンコして、私がそこに自転車で通りかかったなら、喜んで手を貸すだろうに。
私は、あなたに私の命の決定権を委ねたつもりはないし、権利もないと思う。
そして、あなたもそれを重々承知しているはず。
私の目を見るがいい。
星がまたたき、澄んだ夜風が瞳の中で流れていく。
私は容れものだ。
高潔な魂の。
あなたの魂はそれを否定して自分を肯定したがるが、無言で認めてるはずだ。
その証拠に手が震え始めている。