ドラゴンを呼ぶ儀式 /INs°082

いっそう山道を進んでいくと、突如、闘いのティンパニーが打ち鳴らされ、私の鼓動はいや増して高まった

ついに始まったのだ
最終章への序曲が

ともすれば怖気づこうとする私自身を必死に抑えこみながら
負けてなるものかと、鼓舞する

山頂は真っ暗な雲に覆われ
視界は霧で遮られた

誰かの怒号のようにも聞こえる音楽
それは私自身の叫びだったのかもしれない

さあ、来るがいい
私の旅は誰にも邪魔をさせない

ドラゴンのシルエットが闇に浮かび上がる
灼熱の炎を吐くたびにその姿が見え隠れする

それはあなた自身の恐怖がこしらえた幻
恐怖が大きいほど、その姿は巨大だ

向き合え
その弱さと

向き合え
己の使命と

ドラゴンを呼び込んだのは紛れもない私自身だからだ