直して使う、タフになる

新年から新しいものを手に入れた一方で、以前から使っているものを大事に直して使い続けていくということもある。

その代表が、そう、クルマだ。
周りからは「また壊れたの?まだ乗るの?」と言われてしまうけれど、他に乗りたいクルマがないんだよね。

中古で手に入れて今年で11年になる。
今まで乗った車で文句なしに一番長い。
現在トータル15万キロを超えたあたりで、僕が乗って10万キロくらい。
だいぶお疲れなフランス車に間違いないが、エンジン的には今一番調子が出ているのではないかと思うほど、走りは絶好調。

だけど、それ以外の部分が結構壊れる(笑
この年始もオートマのギア変速を伝える電子部品「マルチファンクションスイッチ」の交換からスタート。なにそれ?なパーツでしょう。
シフトレバーでDにいれても、それがDになっているとコンピュータが感知できずエラーをだす。ギアミッションは機械的には壊れていないが、センサーがNGを出すので最悪、エンジンが始動できないことも。
いわゆる、「お不動さん」というやつになってしまう。

「主治医」となっている車屋さんに持込み、診断をかけてもらったが、「エラー:多機能コンセント」の言葉が診断機に表れた。
ドイツ車専門の車屋さんは「なにこれ、全然意味わかんないんだけど?これだから、おフランスは・・」な結果だったのだが、僕が事前に調べて推理していった「多機能=マルチファンクションスイッチですよ、やはり!」「ああ、なるほど!」となり、答えを導き出すことができた。
このように、トラブル多めなクルマに乗るからには、アタマをフル稼働させて手を尽くすことを惜しんではいけない。もしも思考停止状態でディーラーに持ち込もうものなら「ミッション交換で45万ですね。納期は3か月かかります」という、トドメみたいな見積りが来ていたはずである。

これまで何度もレッカー車にはお世話になっているが、慣れたものでいつしかそういうトラブルが発生しても全く動じない自分になっていた。
あれ、僕こそが、「お不動さん」なのかな?

人間、失敗とトラブルはつきものだけれど、こういう経験を積んでいくとだんだんタフになるもの。僕はトラブルに遭遇すると、いつも「タダじゃ起きないぜ」と思っている。
何かしら学びがあり、糧になる。
ましてや、捕って食われるようなことなんて、ほとんど起きないのだから。

それでも、とかく、失敗は許さない、という風潮が世間的に強まってる気がして、もし間違ってしまっても「ドンマイ、次だよ次」とはなかなか人から言ってもらえなくなったように思う。
僕があるとき、「割とトラブルを楽しんじゃうタチなんですよね~」と軽く言ったら、目を真ん丸に見開いて「ありえない・・」とつぶやかれて、そうか、フツーの人ってそうなんだねと逆に驚いたりもした。
ニュースでも身の回りでも、失敗やトラブルを避けることに必死になり、それを露呈しないようにする・・ということをよく目の当たりにするが、そういう行為は結果的に取り返しのつかない問題を引き起こすことも多い。

海外を旅すると、いかに日本という国がちゃんとしているかがわかるけれど、その反面、困難への対応力というものは、あまり培われないのじゃないかと思っている。
外国においては、意志を主張しなければ聞き入れてもらえないし、何も言わずに「察してもらえる」みたいなことはほとんど無かった。日本でならクレーム間違いなしみたいなこともしょっちゅう。

どこにいたって、生きていればタフじゃなきゃ乗り切れないシーンはやっぱり、訪れる。
たまにならいいけど、いやいやどうして、その連続だ。

そういう意味では、このクルマは癇癪を起さずに物事を対処するトレーニングを積ませてくれている、のかもしれない。ま、限界はありますけどね、アハハのハ。

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