近頃、植物を好むようになった。
生活スペースにグリーンがあると、穏やかな気持ちになれる。
彼ら彼女らと暮らしてみたら、各自がいつも違った表情を見せていることに気づいた。
特に水分が足りていないときのげんなり具合には笑ってしまうほど。声なき声を上げているのがよくわかり、「よしよし」とジョーロを手に潤してあげる。
しばらくすると（ほんの1時間足らずでも）、さっきまでうなだれていた茎が
ピーンと 上向きに起きて復活したりしている。
毎朝、土の表面の湿り具合を確かめる。
同じタイミングに水をやったのに、 植物によって乾き具合が違う。”飲みっぷり”がよくてあっというまに土を干上がらせるやつから、それほど水分を要しないドライなやつとそれぞれ性格が異なる。
今我が家にいるのは、ローズマリー、カモミール、タイム、ミント、ロケット、レモンバジルといったハーブがメイン。
カラフルな花も嫌いではないが、どちらかというとグリーンに惹かれる。 それにハーブは茶や料理に使えるので重宝する。
このあたりには大きなフラワーセンターがいくつもあるので、週替わりで違う店を見に行くのが楽しい。店によって取り揃えの違いも分かってきた。
フラワーセンターのお客の多くは私の母くらいの年齢層の女性。私も彼女らに交じって真剣な表情だ。
心が落ち着きをなくしているときは植物のことにも気を配れなくなってしまう。
そういう日は何かと空回る。
だから敢えて立ち止まり一呼吸おいて「焦っても何もいいことはないぜ」と自分に言い聞かせつつ、グリーンを眺める。