遠くに見える旗が
風にはためくのを遠くから見ている
風は北から吹いて、南に抜けている
その力は圧倒的で変えようもない
私はトランペットを吹きながら
音色が北から、南に
尾を引いて流れるのを見守っている
ひんやりとした風が
少しだけ燈色に染まって温度を帯びていく
それがやがて
誰かの耳元にそっと届いて
心地よさを感じてもらえることができたなら
私もうれしい気持ちになるだろう
そうやって私は寒空のもと
トランペットを吹き鳴らし
小さな願いをこめているのだ
旗は銀色に輝き
私の奏でる音色の進路を示す