Old Man’s Regrets/INs°269

その男には後悔があった
なぜあの時自分の意志に従わなかったのか、と
今はただただ老いてしまい
もはや死を待つだけ

そして彼は夢想する
あるはずだった、別の人生を

固く閉じた目を開くと
栄華をきわめる若き己がいた

そして彼は大声で問う

「私には何が足りなかったのか、教えてくれ!」

若き彼は老いた彼に一瞥を投げ、フッと笑った

「自分には王になる器があると、信じて疑わないことさ」