Alfred’s Face/INs°273

アルフレッドはある日気が付いた

鏡の中の自分の顔が
少し歪んでいることに

以前はそうではなかったはずだが
はて

そしてまたあくる日
彼は気が付いた

自分がいつもの自分ではなくなっていることに

私はアルフレッドという名の男のはずだが
鏡の中の男は私の知る男ではない

はて

私は一体、誰なのか
アルフレッドでないとすれば

またまたあくる日がやってきた

だけど、彼はもう鏡の前には立たなかった

その習慣さえも忘れてしまっていたからだ

彼の立つことない鏡の中で
アルフレッドは歯を磨いていた

そちらとこちらの世界の境界が曖昧になっていく
自分と他人の線引きもね