アルフレッドはある日気が付いた
鏡の中の自分の顔が
少し歪んでいることに
以前はそうではなかったはずだが
はて
そしてまたあくる日
彼は気が付いた
自分がいつもの自分ではなくなっていることに
私はアルフレッドという名の男のはずだが
鏡の中の男は私の知る男ではない
はて
私は一体、誰なのか
アルフレッドでないとすれば
またまたあくる日がやってきた
だけど、彼はもう鏡の前には立たなかった
その習慣さえも忘れてしまっていたからだ
彼の立つことない鏡の中で
アルフレッドは歯を磨いていた
そちらとこちらの世界の境界が曖昧になっていく
自分と他人の線引きもね