God’s Territory(神の領域)/INs°561

ああ、思い出したぞ
あの海に飲まれた時の、記憶

セイレンが現れる少し前のことだ

俺たちの船は見たんだ

神々しい何か

月の光が、真っ黒な闇雲に覆われていた空を突き破り
何筋もの柱となって海に突き刺さっていた

その柱たちは次第に海の上に宮殿のような建物を築いた

そうだ、黄金の宮殿だ

その宮殿に向かって俺たちの船は前進していた

潮の匂いに混じって
不思議な香りが立ち込めていた

宗教儀式を行うときに焚くような香り

その香りのせいで
次第に俺たちは恍惚とした気持ちになり
それまで嵐の恐怖に怯えていたが
何も怖く無くなっていた

黄金の宮殿は俺たちを招き入れる

とんでもなく大きな扉に船に乗ったまま招き入れられ
見たこともない絢爛な部屋に通された

そこには誰かがいた
というか姿は見えないが気配のようなもの

それはきっと神様と呼んでいいものだと思った

だけどそのあとは・・

・・黒いルリノアが全てを覆い尽くしたんだ

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