生家に戻った私は
何かこの先役に立ちそうなものはないか探した
廃屋になりだいぶ草臥れ
もう誰もいなかったが
私が此処を追われた時とは違い
穏やかな空気を取り戻していた
静かに私を迎えてくれ
安堵した
またここに戻ることになるとは・・
思えば、私はあちらこちらから嫌われ、疎まれ
場を追われてばかりいる
数奇な運命
苦い笑いと共に
一本の芯の通った想いが沸き上がる
《何がどうなっても、こうやって俺は生きている》
同じ場所のようでいて
此処はもう同じ場所ではない
おや・・
かつてクローゼットであった場所に足を踏み入れると
ヴェルヴェット地のマントが壁にかかっていた
裏地にはfとFのステッチ
光の加減で
濃紺にもワインレッドにも見える
なるほど、これを俺に授けたかったわけだ・・

