Velude(ヴェル―ド)/INs°583

生家に戻った私は
何かこの先役に立ちそうなものはないか探した

廃屋になりだいぶ草臥れ
もう誰もいなかったが

私が此処を追われた時とは違い
穏やかな空気を取り戻していた

静かに私を迎えてくれ
安堵した

またここに戻ることになるとは・・

思えば、私はあちらこちらから嫌われ、疎まれ
場を追われてばかりいる

数奇な運命

苦い笑いと共に
一本の芯の通った想いが沸き上がる

《何がどうなっても、こうやって俺は生きている》

同じ場所のようでいて
此処はもう同じ場所ではない

おや・・
かつてクローゼットであった場所に足を踏み入れると
ヴェルヴェット地のマントが壁にかかっていた

裏地にはfとFのステッチ

光の加減で
濃紺にもワインレッドにも見える

なるほど、これを俺に授けたかったわけだ・・

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