夜の海岸にやってきていた
水平線をずっと見つめていたら
何か光のモヤのようなものが見えて
ダンスを踊りはじめた
天翔(あまか)ける踊り
「こちらへこい」
そう言われていると思った
後ろを振り向けば一寸先は闇
来た道も
もはや見えない
見えなくてよかったと思う
無残な死骸がたくさん転がっているだろうから
焼け落ちた小屋の寂しいシルエットだけが
おぼろげに見える
改めて海へと向き直し
右手を伸ばす
指先にはビリビリと電気的な力が感じられ
光のダンスがわたしを
沖のほうへと引っ張っているのがわかる
啓示だ
私はもはやいままでの私ではない
誰も知らない私が今
ここにいる