リンベルトショア /INs°078

夜の海岸にやってきていた
水平線をずっと見つめていたら
何か光のモヤのようなものが見えて
ダンスを踊りはじめた
天翔(あまか)ける踊り

「こちらへこい」

そう言われていると思った

後ろを振り向けば一寸先は闇
来た道も
もはや見えない

見えなくてよかったと思う
無残な死骸がたくさん転がっているだろうから

焼け落ちた小屋の寂しいシルエットだけが
おぼろげに見える

改めて海へと向き直し
右手を伸ばす

指先にはビリビリと電気的な力が感じられ
光のダンスがわたしを
沖のほうへと引っ張っているのがわかる

啓示だ
私はもはやいままでの私ではない

誰も知らない私が今
ここにいる