ド・ヴルンツ修道院/Lyrical Palace/INs°118

鍾乳洞を抜けると不思議な静寂があたりを包んでいました。
森の中は総じて静かだったが、それとはまた違う静けさ。
静謐というか。

ムッシュはかつてここに来た時のことを思い出しました。
「帰って来たなって感じ」

そう独り言をつぶやきながら、木々の間から見える石造りの修道院の屋根を目印に歩いていきます。

ここに来ると、今が一体いつの時代なのかわからなくなる。
過去のようでもあり、未来のようでもある。
現在は・・抜け落ちている。現実味が薄れているといったほうがいいのか・・。

空の色も、ほかでは見られないような色味。

「お久しぶりですね、ムッシュ」
メトラ司祭がにこやかな表情を浮かべ、入り口のドア前に立っていました。

さあ、おはいりなさい。