ぬかるみの手

闇に堕ちた人間は自分がそのぬかるみから抜け出ることができないので、誰か自分よりも上にいる人間の足を引っ張り、自分の世界に引きずり込もうとする。
顔は醜く、見るも無残なので隠しているし、泥と腐臭にまみれ、もはや生まれたころの輝きは見る影もなく、取り戻せない。

無数の汚い手が今も、誰かを貶め続ける。
タップ、タップ、タップ。
画面の向こうにいる、話したことも会ったこともない人へと言葉のナイフを投げ続ける。

唾棄すべき、愚かな行いだ。
そんな奴らには一瞥すらもくれてやるのはもったいない。
逃げるが勝ち。振り向かずに黙って立ち去れ。

その気になればどこへだって行けるでしょう?

せめてもう、自分あてのメールボックスなんて捨ててしまわないか。
本当に大切な知らせなんて、そこには届いてないから。

その一線を超えてはダメだ。
あなたが屈したら、ほかの誰かがまたつけ狙われる。

大切な人と一緒に逃げてほしい。
あなたには守りたい人がいるでしょう?

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