ビミョーな友人関係 /INs°068

「おー、カノルスじゃないか?」

声の主は、スウェルトだった。

スウェルト/ARØM蒸留所の跡継ぎでカノルスとは腐れ縁。
サックスプレーヤーでもある

うちのアルォムは旨いだろう?勤勉なる我が労働の賜物ってわけさ。
心して飲むように。新作アルォムのお客さんのリアクションが知りたかったから、ちょっと顔を出してみたんだ。

うん、みなさんご満悦そうだ。うれしいねえ。
公家サン、お客さんにしっかり飲んでもらってよ。ハハハ
ウイルス問題も収束してきたから、慌ててあちこちの店から注文きているけど、公家サンにはずっと贔屓にしてもらってるしね。感謝だよ。だから、いいバッチを優先的に出すからね。
ウチの蒸留所はフル稼働中!忙しいのなんのって。

・・ところでカノルス、最近はどうしてるんだ?

相変わらず音楽漬けか?仕事しないでよくやってけるな。
kimama生活主義?
はあ、それってokiraku生活の間違いじゃないか?
そんなにちゅうぶらりんなの、僕はムリ。

あ、そういや、前にうちに置いていったデモテープ、悪くなかったよ。

だけど、また一緒にバンドやろうってハナシは・・どうかな?
言いにくいんだが、先約があってね。
今そのバンドで吹いてるんだ。ファンクなんだがなかなかイイんだ。

僕は仕事も忙しいし、バンドをいくつも掛け持ちするほど時間はない。
悪いけど、ほか当たってよ。公家サンも、じゃ、また!

ーー彼は一度行きかけて、振り向き・・

そうだ、オープンマイクの話聞いた?僕もそのファンクバンドで出るつもりだ。観に来いよ。
じゃあな。