スコットランド旅③ オークニー島・スキャパScotland/Orkney/Scapa

だいぶ長いブランクを経て、旅行記が再スタート(笑
昨年行ったスコットランドの旅の記録その③。

その②はこちら

予想通り雨は徐々に弱まり、完全に止まないまでも歩けるくらいの降りになった。機を逃さず、市街地へ向かう。

午後2時半からはハシゴ酒、ならぬ「スキャパ蒸留所(Scapa Distillery)」のガイドツアーが待っている。

とその前にランチを取りがてらカークウォール市街地観光へ。街の一角においしいランチが食べられるレストランがあるというのでその店を目指す。中心地が近づくにつれ、途方もない大きさの教会がランドマークとして見えてきた。

ここオークニー島はアイスランドなどと同様、かつてバイキングが隆盛を誇った場所。そのため、いたるところにその名残がみられ、ここは北欧か?と思わされる。ちなみに、この地域の人々はスコットランド人というよりも、オーカディアン(オークニー人)と呼ばれることを好むという。

セント・マグナス大聖堂。名前からしてザ・バイキングという感じ。
教会の中にそうっと入ると、内観に圧倒され、いやがおうにも神聖な気持ちになる。が、お腹が空いたので聖堂内を1周ぐるりと回ってそのまま外へ。

こぢんまりとしたカークウォールの街の片隅にその店はあった。

レストラン「the reel」。カウンターで注文と支払いを済ませて、席で待っているときました、ツナのサンドイッチとスープ。

サンドイッチのパンがちょっとパサついているが悪くない味。
(とはいえ、この値段ならば日本のふわふわパンのサンドイッチのほうが満足度高いなと思った。日本のコンビニってやっぱりすごい)

スープはニンジンをすり下ろしたものが入っているが、塩気があまりない。こんなもんだろうかと思いながらも、出されたものは全部きちんといただく。だが後で気が付いたけど、セルフで塩や胡椒を入れるシステムだった模様・・!

ところでこのレストラン、夜は音楽バーになるらしく、自分が座っているあたりがステージに様変わりする。中2階は楽器屋、2階は貸しスタジオのようだった。奥の席に座っている男性がおもむろにギターのチューニングをしだしたワケがわかった。

食休みをしていると、ひとりの老紳士が私の向かいの席に座った。しばらくして同じくらいの年恰好の老紳士が彼のもとにやってきて、二人でカウンターへオーダーしに向かった。

日本ではシニア世代の男性二人がランチを共にするというのはあまり見かけないこともあってか、興味をひかれた私は彼らの様子をそれとなく伺っていた。

オーダーを終えた彼らはセルフサービスコーナーへゆき、ひとりの男性が二人分のナイフとフォークをもってきて席に並べ、もう一人の男性が2つのコップに水を注いだ。席に着いた二人はひたすら、食事が運ばれるのを待っている。不思議なくらい何も会話がない。だけど、そこには心地よい空気が漂っていた。「最近どうだ」とかそういうセリフは2人には不要な感じと言うか。

食事が運ばれてきた。二人とも黙々と食べる。別に二人で食卓を囲む必要がないくらい淡々と。そうしてあっけなく食べ終わる。食欲が満たされて満足そうな二人は何か一言二言だけ小声で言葉を交わした。それで別に笑いが起きるわけではない。彼らが何と言ったかはわからない。だけどその雰囲気で、彼らは週に1度くらいここで食事をともにし、お互いの顔を見るということを習慣にしているのだろうと思った。

何となくそれが良かった。大げさに友情を誇ることもなく、ごく自然なこととして時間を共有し、「またな」と言って帰っていく。そんな様子が浮かんだ。

もしかしたら全然間違っているかもしれないが、そういう想像も悪くない。
と、そんなことを考えていたら、そろそろ出る時間になった。

もう一つの蒸留所ツアーへ出発。バスでも近くまで行けるみたいだけど、雨が完全に止んだしせっかくなのでオールドスキャパロードを歩いていくことにする。

旅行者の仕事は歩くこと。
間違いなかろう。

ひたすら続く一本道をゆく。海沿いに立つスキャパ蒸留所まで。
どちらかというとハイランドパークよりもこちらが本命である。実際、ウィスキーもスキャパのほうが好きだし。

そしてようやく見えた案内看板。まもなく。

さっきまでの雨でべちゃべちゃにぬかるんだ敷地内・・歩きづらい!と思ったら、裏の勝手口から入ってしまったみたい。

そしてようやくたどり着いた、ビジターセンター!

中に入るとすでにこれからガイドツアーを受けようという人たちが数組待機中。
おっと皆さん、おクルマでお越しですか?
試飲はされない、ですよね? (笑

時間通りにガイドツアーが始まった。
このSCAPAは長年に渡って、観光客を受け入れてこなかった(「ビジター、お断り」の掲示)が、数年前にやっとビジターセンターを造ったそう。
ブレンデッドのヴァランタインの原酒として使われており、その歴史は長い。

ハイランドパークと違って、フレッシュな女子が今回はツアーコンダクター。

7人でツアースタート。先ほどと違ってマンツーマンではないのでとても気がラクだ。よくわからなくともフムフムと頷きながら、ついていけばよいのである。(というか、さっきよりは英語が聴きとり易い)

独特な形をしたポッドスティル(蒸留に使う煙突の形をした設備)など、見所がたくさんあったのだが、蒸留所内は撮影禁止(どこの蒸留所も同じ)であったのが残念だ。

個人的に一番のハイライトは樽を貯蔵した倉庫。
いわゆる”天使のわけまえ”と言われる、アロマティックな気化したウィスキーの香りが倉庫内に立ち込めている。

これには皆、深呼吸をしてご満悦顔。

ここで度数65%という、スキャパ原酒を試飲。
喉が焼けそうになるので加水していただく。

貯蔵庫で飲む、スキャパ。
シチュエーションとしては最高。

外なら撮影OK。

そして、ビジターセンターエントランスに戻り、数種テイスティング。熟成前の無色のものも飲んだが、まさに麦焼酎!
みなさんちょっと嫌そうな顔してたけど(笑

ハイランドパークの時よりもいろいろ飲ませてもらったので、だいぶ酔いが回ったところでツアー終了。ツアーとしてはこちらのほうがトータルとして満足度高かったと思う。丁寧に扱ってくれたしね(笑

そういえば、テイスティングをしなかった人はいなかったはずだけど・・。
みなさん、おクルマ・・・ですよね。
・・お気をつけてどうぞ。

動画にでてくる職人のおじさんも働いてました(当たり前か)

皆さんはあっという間にどこかへ走って行ってしまったけれど、歩きの自分はスキャパ湾が臨める場所にせっかくきたので、海沿いを歩いてみることにした。あたりに誰もいなかったので写真を撮るには最高であったが、断崖絶壁を落下すれば誰にも気づかれないという悲劇もなくはない。
日本のように安全柵などはない。とはいえ、景観の美しさをとるなら柵なんてないほうがいいわけで。

とりあえず、気を引き締めて歩け!と言い聞かせる。

まさにスコットランド、といえる風景に魅入られ、酔っ払っているのもあってだいぶ長い時間留まってしまった。じわじわと天気が変わって雨雲が空一面を覆いつくしていることも気が付かずに・・。
と、突然雨が降ってきた!退散!バッグから雨合羽を取り出して羽織り、来た道を急いで戻る。合羽を着ていても結構、濡れる。濡れたついでに市街地まででてスーパーで食料を買い込んだ。ホステルのシャワーは歩き疲れていたので面倒くさくなって使わずそのまま寝てしまった。

明日はレンタカーでこの島を回る。車じゃないと行けない場所に目的地があるのだ。クルマの運転はちょっと心配ではあるがなんとかなるだろう。

その④につづく

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