人間やっぱり、素直なコミュニケーション

最近、何度かお会いする機会があった画家の女性。
その方の作品展があり、拝見させていただいた。

聴けば「絵は60代に入ってから始めたのよ」と嬉々として語られて、そうとは思えないくらいの腕前を持っていらっしゃる。そして、彼女の絵から感じるのはうまさや技術を超えた、何か。

「いつも絵を描くたびに思うのはね、『ああ、まだまだ私、絵の1年生だわ』ってこと。いつまで経ってもその気持ちは消えないのよ。だから続けている」

その言葉と、屈託のない笑顔に、僕はなんとも言えない、穏やかな気持ちになる。

僕は音楽をやっていることを普段あまり人に話さないのだが、思わず彼女の素直な言葉に触れてこう返してしまった。

「本当にそうです。満足しきるってことはないですよね。だから僕も音楽をやりつづけています。毎日毎日作り続けてます。でもやっぱり、それが愉しいからできるんです」

彼女のハートの琴線にもその言葉は触れたようだった。
そこからお互いにアート談議に花が咲いた。

その空間には当然ながら、立場や年齢の差なんかが入り込む余地はない。
お互いの目をちゃんと見ながら、相手の言いたいことを汲み取ろうと耳と心で一生懸命に聴いている。

そういう素直なコミュニケーションができたとき、「この方と話せてよかったなあ」と、とても幸せな気持ちになることができる。なんていうか、身体の細胞ひとつひとつが活性化されて震えるような感覚。

人と人が会って話すとき、やっぱり大事なのはお互いへの敬意だと思う。
当たり前のことのようでいて、案外できていないシチュエーションのほうが多いと感じる。

八方美人であったり、自分中心的な考え方、という上辺でのコミュニケーションを専らしているというのでは本人はうまくやれていると思いがちだが、結局は見破られ、本当の意味での敬意が払われることはない。

人のふり見て、ではないが、自分もそういう「自分よがり」にならないように気をつけたいとこの頃よく思う。

Mさん、5月のライブに来ていただけるとのこと。
心よりお待ちしています。

カテゴリーblog