fFcanorus – カノルス –

深海から不思議な力によって引き上げられていく
かつて私が暮らした地上とは全く違う世界になっているだろう

僕がここで夢を見ていた間
配線はすべて外され
電源の供給を絶たれていた
いわゆるファスティングみたいなものだね

七色に光る竹藪の中で
玉のような小さな子が駆け回っている

いつでも気になるのは自分が誰かということだ
たまに自分を見失うたびに
俺はどこに行ってるんだと考える

気がつくと僕は劇場の観客席に座っていた
他に誰も観客はいなくて僕のためにだけ用意されているらしい

今夜も僕の好きな森の中へやってきた
森のニンフたちが互いに呼応して踊る

部屋の観葉植物たちを愛でながら
静かに暮らすのも悪くない

大柄で甲冑を着込み
ヘルメットからはその表情はうかがえない
そんな男が給仕する

宇宙の花畑
ミモザのような花が次々に開く

どこかの森に迷い込んで
空も見えないような鬱蒼とした茂みの中

耳元でノイズが鳴ってる
頼むから黙ってくれ

メトロポリタンでは宇宙との交信が盛んになってる
それはまだ公になっていないが
まもなく明らかにされるだろう

幻覚症状を感じながらも
成すべきことは分かっていた

裏側の世界に行ってみたい
それはきっともはや容易いこと

おしゃべりな壁
言葉は聞こえないが何かを伝えたいらしい

朱色の空を見つめている
絵で描いたような黄色い月が浮かんでる

顔はよく見えなかったけれど、誰か
とても逢いたかった人に逢った